生きる事に
僕は死にたいと思うことがよくある。
死ねたらどれだけ楽かと思うのだ。
最近、特に不安定だから余計にそう思う。
自分が死んだって別にいいじゃないか、誰も気になんてしないのだから、と。
今を生きていく自信がなくて、これからを生きていく自信がなくて、先なんて見えなくて。この世界には道が、色々な世界があるのに、
それでも僕には何もないのではないのかと、思ってしまう。
そんな風にずっと思っているから、
僕はどうしようもなく、生きることに否定的になってしまうのだ。
でも、僕は昔、生きることを選んだ。死にたくないと思って、そして仙台に来た。
僕は仙台に来る前、角田市という、宮城県の県南で暮らしていた。
何年か暮らしていくうちに、
このままでは僕は生きていけないのではないのかと思うようになっていった。
ここにいたら殺される、と。
それは思い込みと思う人もいるかもしれないけど、
僕は本当に生きるか、死ぬか、の世界にいた。
このままでは、僕はもうどこにも戻れない、
どこにも引きさがることが出来ない世界に連れて行かれる。
そんな風に思っていた。
実際にある時僕は、母親の同級生に、首筋に包丁の柄の部分を当てられて、
「そんなに死にたいならここで死ね」と言われたことがあった。
そこに母もいたが、じぶんは 知らぬ存ぜぬといった風態で隣に座っていた。
あぁ、僕はここにいたらこの人達に、心をズタズタに引き裂かれる、
自分が自分でいられなくなる。
この人達の奴隷として生きていくしか未来がないと思った。
そしてある日、母に「仕事が終わったらすぐに帰ってきて。
同級生に呼び出されているから」と言われた。その時に決めた。
このままここに暮らすのは無理だと。自分で未来を変えるのだと。
そして仕事終わりに、仕事での服装のまま自転車に乗り、暗い夜道を少しずつ走った。
目的地も、当てにできる場所もない、それでもここから出て行く、とだけ思って。
とりあえず僕が昔から憧れていた仙台に行こう、と思ってペダルを踏み続けていく。
自転車で駆け抜ける夜道は、光り輝いて見えた。
もうずっと泣くことがなかったけれど、自転車で走りながら泣いていた。
信号が赤になって止まっている時に見上げた空には星が、月が輝いてた。
そして仙台に着いた頃にはもう朝だった。
そこからは、少し複雑なので省略するが、縁あって今でもお世話になっている、
ある施設で少しの間暮らしていた。
そして、今も住んでいるアパートで初めての一人暮らしを始める。
今も、死にたいと思うことはあって、
その度にもがきながら、苦しみながらも、僕は生きている。
どんな未来が待っているかなんてわからないけれど、それでも生きていくのだ。