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空
僕はよく空を見上げる。
そんな時に感じる事がある。
空は色んな顔を持っていると思う。
空に浮かんでいる雲が、そう感じさせるのかもしれない。
その時々で魅せる表情が違うように見えるのだ。
それは、晴れの日も、曇りの日も同じ様に思う。
雲の形は様々で、見上げる度に変わっていくのが、僕は楽しみの一つである。
雲が魅せてくれる表情一つ一つに僕は見惚れてしまうのだ。
それは心が沈んでいる時でも、パッと輝かせてくれる様な気がする。
空を見上げて、雲を見てハッとさせられる時があって、
それは雲の形が面白かったり、
綺麗に流れていくのを見ているとある種の感動を覚えるのだ。
忘れられない空がある。
それは、昔、車で移動している時の事。
僕は助手席に座っていて、運転している先輩と話をしながら空を見ていた。
その時に見た空が今でも心に残っている。
その日は曇っていて、太陽があまり出ていなかったのだが、
僕が空を見上げたその瞬間だった。
雲の間から太陽の光が射し込んできた。
それは、言葉にするのがとても難しいものなのだけれど、
雲と雲の間から陽の光がスゥーと、ハシゴが空から降りてきた様に見えた。
それは僕にはまるでその上がどこかへと繋がっているのではないか、
と思ってしまうほどに綺麗で、その時僕は涙したのを覚えている。
感動なんて言葉では言い尽くせない思いをその時覚えた。
それからだと思う。
外出していて空が見れる時には、よく空を見上げる様になったのは。
もう一度、あの空を見たいと思うから。
でも、どこかで思っている。
もうあれは見れないのだと。
一度見た空は決して同じ空にはならないから。
それでも良い。
あの様な感動を覚える様な空を見たくて僕は今日も空を見上げる。
そんな日々が続く。
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